答え~秋の花火


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俺はそのまま、部屋に戻り荷物をまとめ悟が帰る前に部屋を出た。駅にはたくさんの車が停まっていた。花火を見に来たのだろう。俺が来たときはがらんとしていたのに。ふとここに来た日のことを思い出していた。

まだ電車がある。俺は改札へ向かう。

 

これでいいんだ。俺はまだ駄目だ。また同じことを繰り返す気がした。また同じ辛さを味わうと思った。何より、悟をもっと傷つけると思った。今よりもっと。俺じゃ、誰も幸せにはできない。こんなにも大切になってしまったから。それなのに、こんなことしかできない俺はやっぱり最低だ。これ以上自分を嫌いになるのも、悟を好きになるのも怖かった。

 

何より、自分が傷つくのが怖かった。俺は本当に最低だ。

 

 

悟、怒るかな。なんでこんなことになってしまったんだろう。どうすることがよかったのだろう。明日から、また孤独な日々を過ごすんだろうな。

 

 

楽しかったな。

 

 

俺は立ち止まり、空を見上げた。花火の音が聞こえる。遠くで光っている。きっと悟はあの花火を見ている。本当は隣で見るはずだった花火。俺は一人で見ている。一緒に見たかったのに。

 

 

「成樹!」

 

 

頭が真っ白になった。その声を聞き間違えるわけない。俺はゆっくりと振り返った。

悟は肩を上下させ、膝に手を置いて、息を切らしながらそこにいた。

「もう帰るのか?」

悟は膝に置いていた手を離し、俺に尋ねる。少しずつ俺に近づいてくる。俺は必死に涙を堪えた。

「もう来ないのか?」

いつものそっけない悟じゃなかった。

「俺が東京に行けばいいのか?」

はっきりと、俺にも届く声で、まっすぐ俺を見て言った。

「答えろよ。まだあいつのこと好きなのか?」

俺は涙を堪えるのに必死だった。何か話したら今にも溢れそうだった。

「まだ辛いのか?また一人になるのか?俺のこと一人にするのか?」

だけど、悟の言葉が優しくて、気が付いたらもう泣いていた。

「俺がお前を傷つけると思ってるのか?お前にさみしい思いをさせると思ってるのか?」

俺はただただ泣いてばかりだった。悟にこんな姿見せたこともないし、見られたくもなかった。

「俺の言葉が足りないのか?俺の気持ちが足りないのか?」

「悟・・・。」

俺は既に流れている涙をまだ必死に堪えながらやっと口を開く。精一杯声を振り絞って、伝えようとした。

その時、悟が俺の目の前までやってきて、俺を抱きしめた。ひざから崩れ落ちそうになった。立っているのがやっとだった。悟の大きな体が、俺を包んでくれた。もう気持ちが爆発しそうだった。

「答えろよ。頼むから・・・何も言わずに行くな。」

悟は俺を抱きしめ、そう言った。声が震えていた。泣いていたと思う。俺を抱きしめるその腕は少しずつ強くなっていく。震えながら泣きじゃくる俺を抱きしめて、悟の体も小刻みに震えていた。

「・・・ごめん。」

ただ謝った。そうすることしかできなかった。他に何も言えなかった。言わなくちゃいけないことがあった。言いたいことがあった。たくさん話さなくちゃいけなかった。でも、何も出てこなくて、何も言えなくて、ただ謝ることしかできなかった。俺は気がつくと思いっきり泣いていた。悟の胸に顔をうずめて、思いっきり泣いていた。涙を流したのは、6年前のあの冬以来。

電車がやってくる音が聞こえる。ホームにアナウンスが流れる。俺は悟の体を押す。悟はゆっくりと俺を離した。

 

それが俺の答えだ。

 

離れても悟の顔を見ることができなかった。

 

そして、振り返り改札に向かう。改札に入り、俺は電車に乗った。しばらくすると扉が閉まり、発車した。俺は振り返ることなく、電車の窓に背を向けたまま相馬駅からどんどん離れていく。外から花火の音が聞こえた。電車の窓から花火の光が入ってくる。

 

電車には誰もいない。俺はそのまま、床に崩れ落ちた。ドアに寄りかかったまま、腕を丸めて、顔を伏せて、泣いた。

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2 thoughts on “答え~秋の花火”

  1. 初めまして。
    一気読みしてしまいました。
    成樹の過去にどこか自分を重ねてしまうところがありました。素直になれないところとか。
    なんか切ないですね。本当は嬉しいはずなのに。
    続編楽しみにしてます。

    1. ひきわりさん

      読んでいただいて嬉しいです!
      架空の設定ですが、ほとんど実体験に近い内容です。
      寂しさを抱えながらも自ら拒んでしまう経験、ありますよね。わかります泣
      忘れたと思っていても思い出してしまうんですよねー。。。

      今は素直になれてますか?素敵な恋愛が出来ていることを祈っています♪

      続編は順調に執筆中です。目途が立ったら公開日をタイトルページに記載しますので、時々遊びに来てください♪

      コメントありがとうございました!

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