まだここにいる~秋の花火


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「お前さ、男が好きなんだろ?」

仕事が終わって、仲が良いメンバーで飯を食いに来ていた時、悟は俺にそう聞いてきた。まだ、俺が悟と仲良くなったばかりで、一緒に遊んだりもしていなかったし、悟はまだ

格闘技も始めたばかりだった。

小さなラーメン屋によく皆で食べに行っていた。仕事は終わるのが遅いし、皆終電があるからなかなか飲みには行けない。だからラーメンを食べて帰ることが多かった。店の中にはカウンター席しかなくて、大抵は外のテーブル席で食べた。

その日は8人くらいで食べに行った。俺と悟は向かい合わせで座って、隣には他のメンバーが座った。何気ない話をして、できたラーメンを食べている時だった。隣の席に座っていた他のメンバーが水を注ぎに行っている最中に、悟がいきなり聞いてきた。

「俺の友達もそうだからわかるんだよ。仲良いし、気にしねーから言ってみ?」

悟は世間話のように気軽に聞いてきた。

「はぁ?なんだよ、急に。」

「俺の友達もゲイだからさ。本当に仲良いんだって。」

俺がゲイだってことはメンバーの誰も知らない。昔からゲイの飲み屋にも行かなかったし、時々インターネットの掲示板で会うくらいだった。女の子とも付き合ったりしていた。

「・・・お前って、優しいんだな。」

俺は悟が自分の友達もゲイだから気にするなと言ってくれたことに、なんだか感心してしまった。俺がゲイだと言いやすいように悟なりに配慮したのだろう。

「で?どうなんだよ?」

隣のメンバーが戻ってきた。

「ちげーよ。」

俺はラーメンをすすりながら適当に答えた。悟はそれ以上聞いてくることはなかった。まだ知られるのが怖かった。

 

 

「わかってるよ。お前のことなんかちゃんとわかってる。」

悟は気づいていたのかもしれない。とっくに。

悟は、俺を見る。俺は、悟を見つめながら何も言えなかった。そんなこと、想像したこともなかった。今まで考えたこともなかった。悟をそういう目で見ることなんてなかった。

「俺は・・・。」

「いいよ。まだいるんだろ、10月まで。」

そう言って悟は部屋へ帰って行った。

 

 

普通、嬉しいんだろうな。でも、俺は複雑な思いでいた。もしも、俺が何も抱えていなければ素直に受け入れたかもしれない。だけど、素直になれない自分がいた。

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いつも、こんなときになって思い出すのはあいつのことだ。悟と出会ったころ、俺が付き合っていた男。思い出してしまう自分が、嫌いだった。

過去の思い出として美化されて、俺にとっては感傷に浸れる時間だった。同時にそれは現実や問題から目をそむけて、都合良く過去のせいにして、逃げ出す自分でもある。

悟の言葉が、嬉しい気持ちは確かにあった。でも怖かった。あの頃のことを思い出すと、誰に対しても信じられない気持になって、自分はまるで孤独で、いつだってたった一人で生きて行かなくちゃいけないような気がした。すごく嫌だった。また誰にも助けを求められない日々が戻ってくるのかと。一緒にいる時でさえ、すごく遠くに感じたあの日々が。まるで、世界に一人取り残されたような。付き合っているのに、そばにいるはずなのに、俺のことは誰も知らずに、どこにも存在せずに、誰にも見られずに。それでも見てほしくて、必死になって彼の求めるものになろうとする。そんな自分が嫌いで、息苦しくて、疲れていたのに、それからも目を背けて、ただ必死にしがみついていたあの時間。俺にとっては忘れられない恐怖で、乗り越えられない現実だった。

 

俺は、どこかで望んでいたのかもしれない。悟みたいなやつと恋ができたらいいのにって。だけど、今まではそんなこと叶うわけはないと思っていたし、ずっと友達でいたかった。悟に思いを告白されて、自分が奥底で望んでいたかもしれない恋が叶う。それなのに、俺の気持ちは沈んでしまった。また繰り返してしまう。また傷つく。それが怖かった。それに、悟のこともきっと傷つけてしまう。悟と恋人になれば、いつか別れる日が来る。そしたら、俺は親友も失うことになる。傷つきたくない、傷つけたくない、別れたくない、失いたくない。

考えれば考えるほど、自分のことが嫌いになっていく。俺は卑怯で、弱くて、最低だと。結局どうしていいのかわからないまま、時間だけが過ぎて行く。

 

俺はやっぱり、何も変わっていないんだ。前に進んでいるなんて、ただの自惚れだった。まだあの時のまま。最後のあの夜、部屋で一人、ただ泣いていた俺は、まだここにいる。

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