青空で光る星 プロローグ~雲ひとつない青空


プロローグ

  高校の時、

 

  好きな奴がいた。

 

  変わった奴で、

 

  いつも明るくて、

 

  いつも笑ってた。

 

  まっすぐで、

 

  優しくて、

 

  空が好きで。

 

 

  俺は、

 

  死ぬことばっかり考えてて、

 

  俺の親、小さい頃に二人とも死んでたから。

 

  誰も引き取り手がいなくて、
  孤児院に預けられたんだけど、
  オッサン二人が経営する居酒屋で。

 

  しかもオッサン二人ともオカマでさ。

 

  周りには色々言われるし、学校ではいじめられるし、

 

  だから死ぬことしか考えてなかった。

 

 

  学校の屋上で飛び降りようとしてる所に現れたのが、俺が好きになった人。

 

  突然現れて、いきなり喧嘩売られて、いきなり泣かされた。

 

  名前は、俊太郎。

 

 

  俺が、初めて好きになった人だ。

 

青い空に見える星

 

「あの子の家、両親は駆け落ちだったんだろう。この時代に、良くやるよな、そんなこと。」

 

空は雲ひとつない青空だ。

時折蝉の鳴き声が響いている。真上から照らす太陽は黒く濃い影を作っていた。

 

「映画の見過ぎなのかねぇ、若いもんはすぐそう言うことを簡単にするから。子どもも不憫なもんだよな。そんな親のもとに生まれて。あの子もろくな大人にならないぞ。」

 

グラウンドにも、校門にも、誰もいない。よく耳を澄ますと、教室の開いている窓から生徒たちの声がかすかに聞こえてくる。

 

「事故だったんでしょ?母親は父親が死んだショックで病気になって自殺したって。ろくに食べることもできないほど貧しかったそうよ。」

 

校舎の屋上に一人、男がいた。上は白い半そでのシャツを着て、下は黒の学生服。シャツはズボンに入れずに出している。踵を踏んだ上靴は汚く黒ずんでいる。

 

「この時代、駆け落ちした夫婦がやっていけるほど世間は甘くないよなぁ。働き口が見つからずに、ずいぶん苦労したんだってよ。」

 

男は屋上の端に立っていた。腰あたりまである塀を登り、20センチくらいの幅の上に立つ。

「今日、またあのホモバーに新しい奴が来たらしいぜ。」

「新しい奴?男?またホモが増えたのか?」

 

風はほとんど吹いていない。3階建ての校舎の一番上に立つ男。

 

「また親に捨てられて来たんだろうよ。てか、ホモ2人がどうやって子供育てられるんだよ。マジでウける!」

「俺達狙われるじゃん!」

 

髪は短く刈り上げられ、整った顔立ちに、高校生らしい体格。

 

「なんか、この前来たあの転校生がホモバーの新入りらしいぜ。」

「おい、やめろよ!あいつやばいらしいよ。この前もホモバーに石投げた2年の奴らがぼこられたって。関わらない方がいいぜ。」

 

男は大きく息を吸った。

 

「あいつ男を襲っては犯してるって噂、知ってる?」

「なんか性病持ってて、自分だけ病気持ってるからってどんどんうつしてるって話し。」

「この前、隣の高校の生徒が病気うつされたらしいよ。あそこにブツブツが出来て、もうセックス出来ねーんだって。」

「あいつ、いろんな女に手出してるって噂だぜ。」

「なんか、年上と援助交際してるらっしいぜ。うちの高校の先生も何人か付き合ってるらしいよ。」

 

男は片足を出した。その遥か下には固そうな地面がある。そしてそのまま、体重を前に倒した。

 

 

「ドサッ!」

地面に倒れる音がする。

「いてっ!」

男は思わず声を上げる。

「つつみまさや!」

男は背中を引っ張られ、屋上に倒れていた。後頭部を両手で覆い、痛がる。その時、名前を呼ぶ声が聞こえた。覇気があって、でかい声だ。誰もいない屋上に響き渡る。

「お前がまさやって奴だろ?」

ぶっきらぼうでなんだか怒りがこもっているその声の主を見た。体を起こして後ろを振り向く。

そこに立っていたのは、男よりも一回り体の大きな生徒だ。

「俺の名前は遠田 俊太朗だ!俺と勝負しろ!」

俊太郎は指を指す。

「お前みたいな腰ぬけは根性叩き直してやる!さっさと立て!弱虫!」

なぜか俊太郎は表情からして怒っていた。炎天下のなかで同じ制服を着て、汗で顔はびっしょり濡れている。肩幅も、背も一回り大きい。髪の毛はうっすらと茶色がかっていて、男の整えられた刈り上げとは違い、ぼさぼさだ。2センチから3センチの毛がくせ毛になってあちこちに飛び跳ねている。しかし、それが無造作で男らしく見えた。

まるで熱血教師のように俊太郎は男の前に仁王立ちで立ちながら怒鳴っていた。漫画のように指を差し、もう片方の手は腰に当てセリフのようにはっきりとした口調だった。

 

ただただ、男は唖然と俊太郎を見上げていた。

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