俺が入学したのは男子校。教師も全員男。
地元では中くらいの偏差値で、それほど柄も悪くはない。男子校だからか規則が厳しくて、喧嘩や非行には徹底的に対応しているそう。
進学率も悪くないし、スポーツもそれなり。一応全国大会まで行く年もあったそうだ。
地方にはよくあるタイプの男子校だ。
俺は朝、ドキドキしながら自分の教室へと向かった。朝、玄関で名前を言うと教師がクラスを教えてくれる。教えてくれるのは自分のクラスだけで、剛はどこのクラスかわからなかった。
クラスに入ると、剛の姿はない。まだ来ていないのかも知れないと思い、俺は黒板に張られた自分の席に座った。
まわりでは運良く中学の時からの知り合いがいた生徒は一緒にはしゃいでいたり、他のクラスの友達の所へ行ったり、廊下で話している。俺のクラスにも中学の時の知り合いが何人かいたが、そんなに話したことのない顔ぶればかりだった。
「大輝!」
教室のドアの辺りから俺を呼ぶ声が聞こえた。振り向くとそこに剛がいる。
いつも通りの飛びきりの笑顔で俺に手を振っていた。不安だらけの俺と比べて、いつもながらあの呑気そうな顔を見て、力が抜けてしまった。俺は席を立ち廊下に出た。
「お前とは隣のクラスだな。」
どうやら剛は俺の隣のクラスらしい。
「なんだぁ。俺友達できるかな。」
俺は正直不安になり、弱音を吐いてしまう。
「まあ、平気っしょ!体育の授業は一緒らしいしさ!」
中学の時と同じ、体育は2クラス合同だと聞いて少し安心した。しかし、それにしても剛の奴、何でこんなに余裕なのか。
「俺のクラスに隆史いるぞ?」
「え?隆史も同じクラスなんだ!いいなぁ!お前のクラス天国じゃん。」
「大輝も友達できるって!それより面白そうな部活見つけたんだ!後で見に行こうぜ!」
丁度チャイムが鳴って、剛はそう言って教室に戻って行った。
剛があんなに余裕だったのは隆史が同じクラスだったからだ。
久野 隆史(くの たかし)は中学の時に仲が良かった友達だ。
何人かでつるんでたうちの一人で、親友ってわけじゃないけど、まあ仲は良かった。
隆史はサッカー部でキャプテンも務めた優等生。だけど、サッカー部は大抵足は太いが上半身はスリムな生徒が多い中、隆史はどちらかと言うと厳つい体型で、ごつごつした体によく焼けた肌。坊主の髪型に、まるで外人のような堀の深い顔。サッカー部には珍しい体型だった。それでもラグビー部や柔道部に比べればスリムな方だ。
なんだか俺だけ置いていかれたような気持ちになり、寂しくなった。
教室では簡単なオリエンテーションとお決まりの自己紹介。名前と挨拶くらいでクラスの生徒30人ほど。それで1時間目が終わって、2時間目はプリントとか書類が配られた。ほとんど親向けのものだ。それに、授業で使う教科書やら道具やらが配られた。それに名前を書いたり中身を確認したり。
そんな中、何人か話し掛けてくれたクラスメイトもいた。俺にも友達ができそうで少し安心した。
今日はそれで終わり。この後は部活見学だ。これが今日の楽しみだった。
「大輝、行くぞ!」
剛は俺のクラスの教室に入ってそう言うと俺の返事を聞く間もなく出て行ってしまう。
廊下に出ると、剛と一緒に隆史がいた。
「よう!」
隆史と会うのは中学卒業以来。春休みも一緒に遊んだりはしなかった。
「久しぶり!」
俺も返事を返す。
「隆史も一緒!いいだろ?」
「ああ、俺も一緒に行きたい奴いるんだけど?」
クラスで話しかけられた他の生徒に部活見学を誘われたから一緒に行くことにしていた。
「ああ、いいよ!」
俺のクラスからは2人くらい一緒に行く。剛はすんなり受け入れて、部活を見に行く間、いろいろ話していた。仲良くなるのが随分うまい。
最初は隆史がサッカー部を見たいと言うのでサッカー部を見学しに行った。
部活見学の間は特別に先輩たちが練習風景を見せながら、解説や勧誘をしてる。
サッカー部はグラウンドで練習をしていた。上下関係が厳しくてハードだけど、やりがいがあって、とか何とか解説していた。そんな説明を横に俺も剛も隣で練習している野球部を見ていた。
「お前、野球やるのか?」
夢中になって見ている俺に剛が声をかける。
「え?ああ、そうだな。お前、やっぱり野球やらねーの?」
「ああ、俺は他の部活やりたいんだよ。」
「面白そうな部活って言ってたやつ?」
「そうそう!まあ、後で見に行こうぜ。」
にやりと笑って見せる。そんなに面白そうな部活あったっけなと思い、グラウンドを後にする。
体育館に行くとバスケ部やバレー部、バトミントンに剣道、柔道、体操、卓球。いろいろ見たけど、どれも剛の言う面白そうな部活ではないらしい。
「なあ、お前の言ってた部活って文化系?」
大抵の体育会系の部活は見終わり、俺は剛に聞いた。
「まあ、文化系も見とく?」
剛はまだ教えてくれないみたいだ。
その後、囲碁、図書、書道、茶道、怪しいけどミステリー研究部も見学した。再び体育会系に戻り、水泳や登山、弓道、ラグビーなんかも見学した。
「大輝、どれにする?」
隆史が聞いてきた。
「俺はやっぱ、野球しかできねーからな。隆史は?」
「俺はサッカーだな。」
一緒に来ていた他の2人もそれぞれ入部する先を決めていたようだった。
「剛、お前は?」
剛はにやにやした顔で俺を見る。
「俺はもう一個見に行きたいんだよ。」
確かにまだ見に行っていない部活もある。でも、美術部とか吹奏楽部とか、スポーツだってテニスとかボディビルとか剛は興味のなさそうなものばかり。
「そろそろ教えろよ。何見たいんだ?」
俺はいい加減待ち切れず聞いた。
「男闘部に行きたいんだよ。」
「だんとうぶ?」
「なにそれ?」
「なんか厳しそう・・・。」
皆が不思議そうな顔をする。
「そんなのどこにあんの?」
「この部活は道場があるんだってよ!行ってみようぜ!」
剛は嬉しそうな顔で駆けだした。俺達はポカンとした顔で付いて行く。
学園モノいいですね。
今までと違うテイストでめっちゃ続きが気になります!
毎日暑いですが執筆頑張って下さい!
楽しみにしています。
タチ好きタチさん
コメントありがとうございます!
システムが回復しやっと続きが投稿出来たので是非楽しんでください!
本当に毎日暑いですが、タチ好きタチさんも水分取りながらたくさんエロいこと楽しんでくださいね(笑)
また遊びに来てください!