男闘部に入部したのは俺と剛、隆史。それから他のクラスの奴が2人入部した。
矢作 孝明(やはぎ たかあき)は剛とも俺とも別のクラスで、中学では吹奏楽部だったようだ。体格は、まあ普通で、俺たちとは違い高校生らしい髪型だ。前髪が眉のすぐ上まで伸びて横に流している。程良く日焼けした肌に白い歯。整った顔はなんだかモテそうだ。体は細めで筋肉質ではなく、いたって普通体系。でも人並みにスポーツも勉強もできるみたいだ。今時の平均的な普通の男の子。
孝明とはすぐに仲良くなれた。性格はなんだか控え目でクールな感じ。剛とは正反対だ。
そしてもう一人。水嶋 春樹(みずしま はるき)。髪が長くて日焼けしている。細マッチョと言うのか、脂肪が無くて筋肉の形がくっきり出ているけど、とにかく細い。中学で部活はしていなかったらしい。派手な色の下着とか靴下とか身につけているし、手首や首からはジャラジャラとアクセサリーをぶら下げている。初日から「毎日抜き放題」とか、「女とやりまくってる俺には余裕」とか、随分上から目線で感じが悪かった。そのせいで俺達はなんだか仲良くなれずに、春樹はすでに孤立していた。先輩からも生意気だと煙たがられる始末。問題児だ。
俺達は入部してからまずはルールや掟を説明された。これがかなり厳しくて、相当な体育会系だった。野球部の方がマシと思えるほどだ。説明してくれたのは剛が憧れたあの先輩。名前は成澤 一成(なるさわ いっせい)。
まず、男闘部は恋愛禁止。
「付き合うのは禁止だ。男とも女とも。」
先輩はサラっと言うが、男と付き合うなんて考えたこともないし、俺達は反応に困ってしまった。
恋愛はとにかく禁止で、外でも学校内でも禁止だ。春樹は嫌そうな顔をしていた。長い髪をいじりながらだるそうに聞いていた。でもこの掟は、悲しいことに俺には関係なさそうだ。
次にオナニー禁止。これはさすがに俺達も顔を見合わせた。意外にも春樹は平気そうな顔をしていた。それどころか鼻で笑う。きっとオナニーなんかしなくてもいいほど相手には困っていないのかもしれない。でも俺達にとっては死活問題だ。
試合前は3日間抜いてはいけないというルールがある。相手からの刺激により耐性を持つため、オナニーをせずに溜めて練習の時にいかに射精しないかを鍛える一つのトレーニングらしい。
次はもっときつい。1年は生徒同士の練習は禁止。練習試合も禁止。実践するときは先輩か顧問が許可したときのみ。
オナニーも禁止、練習も禁止だとしたら、俺達は抜ける所がしばらくない。春樹はセフレがいるからとかなんとか。セフレなら恋愛でもないしオナニーでもない。上手いこと考えたな。
俺達にとってはたまらない地獄だ。
掟はこの3つだけ。少ない割にうんときつい。早速俺は入部を少し後悔した。
そして、ルールだ。
試合には個人戦と団体戦がある。団体戦てなんだよ・・・って、素直に考えてしまった。
とにかく勝敗は簡単、相手を射精させればいい。
道具はローションを使っていい。最初は手にだけあらかじめ塗っておいて、試合が始まれば足してもいいし、他の部分に塗ることも可能だ。
褌を付けた状態で向かい合い、褌から相手の股間を引き出し射精させる。これが基本ルールだ。
団体戦の場合は主将をイかせる。5人1チームで行われ、主将は決められたポジションから動くことはできないので自分を責めに来た敵を責める。他の4人は主将を守るか相手の主将を責めるか。責めに来た敵をイかせてもいい。主将以外は射精しても参加し続けることができる。
個人戦でも団体戦でも使っていいのは手の平と口、足の裏を使うことができる。つまり肘や拳などを使う行為は禁止。暴力は反則になる。流血、怪我などをさせると退場。首を絞めたり爪でひっかいたりも禁止だ。
ただし、人によっては玉を思い切り握ってきたり、中にはアナルに挿入してきたりする選手もいるそうだ。アナルについては特にルールに記載されていないので反則にならない。しかし、射精してしまった場合は挿入だろうと負けになる。主に団体戦での攻防で行われることがあるそう。玉を握るのは暴力になるが、審判にばれないようにやるらしい。
攻防には、言葉についてのルールは示されていない。男闘では言葉責めをする場合、相手が歳上や格上でも、敬語で話す必要はないそうだ。模擬試合で田路先生が試合中急に乱暴な口調になったのも理解できた。ルールではないが伝統だと教えられた。伝統があるって、昔からあるのかな。
他にいろんな技や技術、細かいルールやガイドラインがあるがそれはやりながら学んでいくそう。
俺達1年は3ヶ月間、とにかく筋トレだけをさせられた。
男闘部は見た目で相手を威嚇することも重要なようで、とにかく体を大きくすることを強いられた。食事は吐きそうになるくらい食べて、高重量のバーベルやダンベルを上げる日々。他の運動系の生徒たちに混ざりトレーニングルームで過ごす。
筋トレは性欲を増幅する効果もあるみたいで、それも重要らしい。俺達は言われるがまま先輩たちが用意した筋トレメニューをひたすらこなした。
一方、春樹は筋トレもそれほどせず、それどころか部活にもあまり顔を出さなかった。何かあってそうなったわけではなく、最初からそうだ。たまに来て、まだ練習もさせてもらえないことに文句を言っては適当に筋トレだけして、誰よりも先に帰っていく。俺はすっかり春樹が嫌いになっていた。
筋トレを続けて行くうちに、男闘部がどうしてクラスメイトや学校中の笑い者にならないのかが分かって来た。男闘部の筋トレは遥かにレベルが高く、きつい。それによって作られる屈強な体は、男たちから憧れの目で見られていた。同性愛とかそういうのじゃなくて、男としての憧れだ。確かに先輩たちはかっこよかった。
その間もオナニーや練習試合は禁止。俺達は重たくなった玉を毎日ぶら下げて、ひたすら性欲と闘う日々。時々何をしてても女のことしか考えられない時もある。他のみんなも同じだ。学校帰り、女子高生をぼーっと眺めては剛と溜め息をついた。
少なくとも俺は素直に先輩からの言いつけを守り、3か月もの間オナニーを一度もしなかった。他のみんなはどうだったのかわからないけど、相当辛そうだった。
毎日学校に行くと先輩に玉の重さを量られた。0.1グラムも減らないように見張られていた。オナニーすると本当にそれでわかるのかどうか疑問だったけど、もし本当に分かるなら先輩たちからのお叱りが怖かったから、皆守っていたと思う。
最初は人前で股間を出すは嫌だったし、触られて反応してしまうのもすごく嫌だったけど、そのうち慣れてきた。
先輩たちとはそれなりに仲良くやっていた。
見学の時に説明してくれた一成先輩は本当に優しくて、俺達の面倒をよく見てくれた。筋トレも朝の玉測定も、いつも一成先輩がしてくれて一番仲良くなれた。中でも剛はすっかり一成先輩に憧れていた。でも、それもわかる。一成先輩は2年生だ。
俺が褌を私に行った時にいたあの人は3年生らしい。國保 勇一郎(こくぼ ゆういちろう)先輩。國保先輩の練習は特別らしく、俺達はいつもトレーニングルームで筋トレをしているので、まだ見たことはない。他の先輩は見た目は厳ついけど、普段は優しいしどこにでもいる高校生。でも國保先輩だけはいつだってしかめっ面で、俺に声をかけてくれたあの日以来、話もしたことないし、話している所も見たことはない。2年生たちも怖くて話し掛ける人はいないらしい。部活の主将だ。
3カ月後、俺達の体は相当大きくなっていた。春樹を除いて。
ある日、春樹が部室に顔を出した。
「なあ、もう練習試合やってんのか?」
相変わらず色黒で細い。それが練習していない証拠だったから、俺達はうっとおしそうに睨んだ。
「まだやってるわけないだろ。今日は練習すんだろーな?」
俺は嫌味を込めて尋ねた。
「あははは!大輝!俺には筋トレなんか必要ねーんだよ!」
俺はこいつと友達になったつもりはなかったが、いつだって馴れ馴れしい。
「俺はな、お前らよりも経験値が高いんだから!野郎にイかされるわけねーだろ!」
「はいはい。早く女のところ行けよ。」
俺はストレッチしながら呆れていた。剛や隆史も呆れている。
いつもだったらこれくらいで帰る春樹。だがこの日は違った。
「ねえ、先輩達!俺と勝負してくれません?俺には筋トレなんて必要ないってわかりますよ!それに即戦力になって試合でもバンバン活躍しますから!俺勝てちゃうんですもん!」
俺達は背筋が凍った。
「お・・おい、春樹・・・。」
剛は思わず立ち上がり、そう言って春樹を止めようとする。俺達もストレッチどころじゃなくなって立ち上がった。
『春樹、殺されるぞ・・・。』
そう思った。剛も怯えてそれ以上言葉が出てこない様子だ。2、3年生が一気に春樹を見る。
國保先輩もいる。春樹を見ることもなく、黙って褌をまいていた。一成先輩は他の先輩達とは違って、少し心配そうに見ていた。
「お前、本気で言ってんのか?」
一人の先輩が春樹の前へ出てきた。2年生の信田 義典(しのだ よしのり)先輩だ。髪は中わけのショートで、体はそれほど大きくはない。というか筋肉質ではなく、スポーツができそうではあるものの脂肪がうっすら乗っている感じだ。肩幅も狭くて腕も細い。まあ、春樹と比べれば良い勝負だ。前に出るタイプで、俺達の前じゃ一番先輩面する。いつも俺達には偉そうだし、2年にはいつも何かしら上から目線でアドバイスしている。実力は、弱くないにしても特別強くはない。言葉攻めの仕方が独特で、少しナルシストが入っているかも。
「本気じゃなったらこんなこと言わないっすよ!先輩俺と一発やってくれますか?俺3日女とやってないっすよ!」
春樹、マジで頭がおかしくなったのか。
「1年だからって手加減しねーよ?ぶっ潰してやらぁ。」
信田先輩も結構スイッチ入っているみたいだ。
「信田、良いのか?」
一成先輩が心配そうに尋ねる。
「ああ、こいつ一度わからせてやった方がよくねぇ?」
信田先輩は片足に体重を預け、腰に手を当て、もう片方の手で春樹を指差した。
「信田先輩でいいですよ!」
春樹はそう言うと学生服を脱ぎ始めた。
「こっちも裸でいいんだよなぁ?」
そう言うと信田先輩も褌を脱ぐ。一成先輩は大きくため息をついた。俺達は唖然として見つめているしかなかった。
筋トレしてると勃起もキツくなるし、地獄のようなトレーニングですね笑
独特の展開で毎週楽しみです。
続きも楽しみにしています!
タチ好きタチさん
いつもコメントありがとうございます!
楽しんでいただけて嬉しいです。最近はなかなか更新できず、楽しみにしてくださる皆さんにはいつも申し訳なく思っています汗
少しずつではありますが更新しているのでこれからも楽しんでください!
たまには禁欲トレーニングもいいですよ笑
また遊びに来てくださいね。