春休み


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鳴奥町(なりおくちょう)。

そんなに田舎じゃないが、都会でもない。少し車を走らせれば田んぼが広がっているし、山もある。冬には雪が積もるくらい降るし、夏は暑い。秋と春は涼しいし花もきれいだけど、雨が多い。
民家はそれなりにあって、というより民家だらけ。大きなスーパーもあるし、まあ服を買う場所もある。飲み屋も多いし、レストランもある。そう言う施設は町の一か所に集中していて、その周りはコンビニと中型スーパーがあるだけ。ぽつんとスナックとか居酒屋がある。
高校や中学、小学校もそれぞれ4つか5つくらいはあるだろう。遊びに行く所と言えば、小さな動物園とか自然が多くて子ども用のアスレチックとかがある公園。大人はパチンコくらい。特別観光地もなければ名物もない。山と川しかない田舎ではないけれど、大都市と比べれば十分田舎だろう。

 

学校も特別優秀なわけでもなく、どちらかと言うと偏差値の低い学校が中心だ。受験争いもほとんどない。
だいたい近所の学校に通って、自分に合わせた高校を選ぶ。
だいたい高校まで顔見知りの生徒たちと過ごす。大抵他の学校に自分の元クラスメイトがいる。その分、生徒の柄も悪い。中途半端な田舎独特の青春時代を皆過ごす。

 

それが俺の住む町。小さくて、退屈で、窮屈な町。

 

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俺は瀬木 大輝(せぎ たいき)。
4月になれば高校に入学だ。勉強はまあ普通で、とりわけ得意なこともなく、ごく普通の高校生。少しくらいはおしゃれに気を使っているし、スポーツもそれなり。特にいじめみたいなものにもあわないし、家もごく普通のレベルだ。
将来やりたいことも見つけてないし、これといって打ち込んでいることもない。
友達もいるし、中学では女子と付き合ったこともある。でもまだ童偵だけど気にしたことはない。

小学校でも中学校でも野球部で、高校でも野球をしようと思っていた。でも、甲子園に出たいとか、メジャーリーグに行きたいとか、そんな夢はない。
小さい頃からやっているから、というよりそれしかできないから続けているだけだ。

 

 

今は、春休みを過ごしている。

中学の卒業式が終わって、友達と、もう卒業だからと毎日のように遊んでいた。高校受験から解放された俺達の体力は有り余っていて、毎日公園で鬼ごっことか野球とか、下手だけどサッカーとかバスケとか。友達の家でゲームをしたり、広い庭のある友達の家でテントを張ってキャンプのまねごとをしたりした。

卒業と言いつつ、どうせ高校でも一緒の友達たちと毎日遊んだ。

 

なかでも、ほとんど毎日一緒にいるのは、親友の飯塚 剛(いいづか ごう)。剛は俺の幼馴染で、同じ野球部。偶然だけど同じ高校に行くことになった。

 

俺も剛も、同じくらいの体型で、身長もほとんど同じ。昔からよく兄弟と間違われるほど似ている。髪型は野球部だからずっと坊主だし、日焼けもしていて、目は小さくて体格も同じくらい。
俺達は全然違う顔に見えるけど、周りから見れば同じらしい。唇が剛の方が厚くて、俺は口が小さい。剛は笑うと尖った八重歯が顔を出す。そこぐらいしか違いが無いらしい。
俺達は二人ともいつも一緒だったから、彼女ができても嫉妬されるくらいで、だから今まで童偵なんだろう。女子にはモテない。いつもそのことをお互いに馬鹿にしてふざけていた。

 

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そして入学式の日。

お互いの親がビデオカメラを回して俺達を撮っていた。本当に撮られるのが嫌で俺達は式の間、俯いていた。

やっと式が終わって家に帰るときには俺も剛も親たちとは別々で帰ることにした。皆そうしている。もちろん、これから剛の家に行って遊ぶつもりだった。

 

 

「なんか、春休みと変わんねーな。」

剛の部屋で何をするわけでもなく、俺達はダラダラしていた。剛は制服を脱いでパンツ一枚でベッドの上に寝転がり、俺は制服のまま部屋の隅に座り、もたれかかってお菓子を食べていた。

ベッドでだらしなく寝そべる剛をみて、高校生になった緊張感も新鮮な感じもないその姿に俺は思わずそう言った。

「あははは!確かに!」

俺も呑気だが、剛も呑気なものだ。

「お前部活動するの?全員強制で入部だってよ。」

「強制なんだ?俺野球。お前もだろ?」

俺は当たり前のようにそう言った。剛も野球部に入ると思っていた。

「いやぁ、なんかさ、あそこの野球部厳しいらしいんだよ。今年から先生変わったんだってよ。部活に力入れ始めたって母さんが言ってた。」

その時初めて、剛が野球部を考えていないことを知った俺は少しショックだった。

「え?そうなの?てか、お前野球部入らねーのかよ!」

考えてみれば剛も野球で何かを目指しているわけじゃない。中学でも十分厳しい部活だったのに、尚更厳しいと聞かされると確かに俺もやる気が失せてきた。

「だって厳しいのとか嫌だろ?せっかく高校入ったからさ、なんか新しい部活でもやっていようかなーと思って。」

なんだか呑気なくせに、いろいろ考えていることに驚いた。

「まあ、確かにな。でも俺は野球しかできねーからな。他のスポーツ駄目。」

「確かに!あはははは!」

すぐ俺を馬鹿にする。

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やる気が失せたとは言っても、俺にはそれしかないと思っていた。他のスポーツは本当に下手で、苦手だった。足腰は強い方だし、体も筋肉質だったけど、だからって運動神経がいいわけじゃない。

それに比べて剛はスポーツは何でも出来た。筋肉は俺とそんなに変わらないのに、走らせれば早いし、ボールを使う競技はとにかく得点を取る。泳いでも飛んでも、だいたい優秀な成績を取る。呑気なくせに、スポーツじゃ俺は剛に敵わない。

剛に勝てることと言えば勉強とゲーム、口喧嘩くらい。頭を使うのは苦手で、典型的な筋肉馬鹿。高校受験は俺が勉強を教えた。

そんな剛と、高校では別々になるかもしれないことも俺は少し覚悟していた。クラスが一緒かどうかわからないし、それに野球も一緒にできないんだとその日に知って、俺はどこか寂しさを感じながらも、仕方のないことだと知っていた。

 

明日、初日のクラス発表と高校の部活見学会がある。俺達は一緒に部活を見に行く約束をして別れた。

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