そして、入部


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俺は男と見つめ合う。

向こうはまるで睨んでくるような、殺気さえ感じる鋭い視線だ。

一方俺はと言うとあっけにとられ、口も開けたままだ。目が合ってからもその鋭い視線とトレーニング後のような筋肉の張ったその体を何も考えずに見つめてしまった。

「何?」

ただでさえ鋭く怖い視線と見た目で、さらに低く囁くような声でそう聞かれ、俺はさすがに我に帰る。と同時に焦った。

「え?!あ・・・あの・・・いや、これ・・・その。」

何を言うはずだったのかすっかり忘れてしまい、ただ言葉に詰まり手に持っているハンカチを差し出した。

「先生が・・・その・・・。」

田路先生の名前を必死に思い出そうとするが出てこない。忘れてしまったわけではないのに急に頭が真っ白になってしまった。

すると、男は俺の方へ向かってくる。正面を向いたその体は横から見るよりもはるかに大きく、俺の2倍はありそうな肩幅がさらに俺を怖がらせた。黙ったまま近づいてくるその迫力に俺は何も言えなくなり、後ろへ下がろうとするが体も動かなかった。

俺の前まで来ると、男は黙ったままハンカチを受け取る。怒られるのかと思っていた俺はあっけにとられて、ついさっきまでハンカチがあった手元を見てしまった。

すると、丁度男の股間が視界に入る。さっきまで硬くなっていたそれは、イったばかりなのにまだ固そうだった。男は手に取ったハンカチを広げ始める。

「1年?」

馬鹿みたいに何も言えずただ見つめるだけの俺に、男は尋ねる。

「え?!・・・あ、すいません!」

俺は股間から眼を逸らす。だがそれでも男の顔を正面から見る勇気はなく、気まずく視線を逸らし横を向いた。俺は顔を真っ赤にして、何もできずにいた。

「俺の質問、答えろよ。」

その言葉に気がついて、また焦る。

「あ、すいません。はい!1年です!」

この前まで中学じゃ一番年上で、部活では後輩に偉そうにしていたのに、今の俺を見たらきっと馬鹿にされるだろう。

「そうか。男闘部入るのか?」

見かけと声の低さからは想像できないくらい、なんだか口調が優しいことに気が付く。

「あの、はい!入部しようと思ってます!」

自然と緊張してしまい声が大きくなる。男は終始落ち着いた口調だ。

「頑張れよ。」

「・・・え?」

俺は思わず顔を見てしまう。壁のように立ちはだかる大きな体と鋭い目つき。しかし、その口から放たれた言葉があまりにも優しく感じて、俺は違和感よりも感動すら覚えた。まるで憧れの人と話をしているような、不思議な感覚だった。

 

男はそう言うと、あっけにとられた俺の顔を見て小さく微笑み、奥へ向かって行った。そのままシャワールームに入るまで、俺はただ顔を赤らめたままその後ろ姿を見つめていた。

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夕日が沈み、空が薄くオレンジと緑と青に染まっている。

俺は一人、とぼとぼと帰り道を歩く。一人で歩きながら考えていた。

「はぁ・・・野球部に入るつもりだったのに。」

誰も隣にいないのに、つい呟いてしまう。

そう。俺は思わず「入ります」なんて言ってしまったものだから、どうしようか考えていた。

あんな部活、きっとクラスメイトに馬鹿にされそうだ。ホモとか気持ち悪いとか言われていじめられたりするのかな。剛は何であんな部活に憧れたんだろう。俺、野球部に行こうと思ってたのに、どうしよう。

 

そんなことを考えているうちに家についてしまった。

 

家に着いてから、俺は夕飯を食べて、学校の話を家族に聞かれたけど面倒だから適当に答えて、でも部活の話は出来なくて。テレビを見ていても風呂に入っていても部屋で一人でいても、俺は今日見たあの光景のことばかり考えていた。

 

夜、剛から電話が来た。

「もしもし?」

「ああ、大輝?今日どうだったよ?練習見てきたのか?」

剛は興味深々そうだ。

「お前、何で先に帰ったんだよ!俺一人に行かせやがって!」

「悪かったって。」

剛は罰が悪そうに謝って来た。その後、俺が見た光景を話した。

「へぇー。じゃあ、お前も入部しなきゃだな。」

「剛さ、マジで入部するのかよ?」

「ああ、当たり前だろ?」

「でもさ、クラスメイトとか、友達にきっと変な目で見られたりするんじゃね?」

「やっぱりお前もそこ気にしてたのか。」

どうやら俺の不安は知っていたみたいだ。

「まあ気にするなって方が無理だけどな。俺も正直どんな部活か知らなかったし、声かけられた先輩がかっこよかったから興味あっただけなんだ。ほら、今日いろいろ説明してくれた先輩。」

部活見学の時に中に入れてくれたあの先輩だ。

「お前、部活の内容知らなかったのか?!ていうか、先輩がかっこよかったってだけで入部?他人のチンコしごくんだぜ?」

「わかってるよ!だけど、なんかかっこよかったんだ。お前もそう思っただろ?なんか、こうさ、何て言うか、憧れたんだよ!俺もあんな風になりたいって!今までやってたからってだけで流れに任せて野球部行くよりもさ、なりたい自分が見つけられたあの部活に入る方がいいだろ?」

「え?・・・なりたい自分?」

なんだか剛の言葉に説得力を感じた。やっぱり急に大人になったと思った俺の考えは間違っていなかったらしい。

「お前もそう思っただろ?まあ、無理にとは言わないけどさ!部活の提出は今週中なんだし、少し考えてみろよ!じゃあもう寝るわ!」

そう言うと一方的に電話を切られてしまった。

「・・・・・・なんだよ、剛のくせに。」

俺は画面を見つめてそう呟いた。

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それから数日、俺は毎日悩んでいた。登校して間もないのに、こんなに悩むのも変な話だ。その内クラスでも何人か話すようになったし、剛や隆史とも毎日のように一緒にいた。剛のクラスメイトとも仲良くなれた。

剛は相変わらず俺を何度も誘ってきた。俺はその度に曖昧な返事をしただけで、電話の時みたいに深い話はしなかった。クラスメイトにも何人か男闘部について聞いてみたけど、皆口をそろえて興味なさそうな感じだったし、そもそも知らない人の方が多かった。

 

そして、俺は悩みに悩み抜いて、結局入部することにした。どうして入部したかと聞かれると、剛の電話での説得と、そして何よりあの日見た、褌を渡しに行った時の光景が目に焼き付いていたから。剛の言う通り、俺はあの姿に憧れた。その気持ちをとにかく信じてみることにした。

剛みたいに強い憧れとか、目標とか、なりたい自分とか、そんな大それたものを掲げてはいなくて、何となく入部するのは野球部に入る気持ちと変わらないだろう。この先どうなるかもわからないし、嫌なら辞めてもいい。そのくらいの気持ちだった。

いや、正確に言うとそう言う気持ちだって自分に言い聞かせていた。

 

明日から、俺の男闘部が始まる。

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