俺達はいきなりお互い竿を掴みあい、力いっぱいしごいた。というか、俺はこのやり方しか知らなかった。相手も同じなのだろうか。だけど、オイルもなくこの狭い個室じゃどこかを責めることもままならず、向こうもそうするほかないのかもしれない。
「いきなりそんな本気でしごくなんて・・・マジなんだね。」
相手は少し苦しそうな顔をしている。
「あ・・・たりめぇだろ。すぐに逝かせてやる。」
俺も多分苦しそうな顔をしているのだろう。やばい、気持ちがいい。
「あんだけ勃起してたんだもんね。大輝君こそ出したいんだろ?」
「う・・・うるせぇ。」
正直余裕がない。いつもオイルを使っている時は、気持ちいようなくすぐったいような変な刺激が来るけど、シンプルに握力だけでしごかれるのは久しぶりで、やばい。
「すぐに・・・逝かないでよ。もっと・・・はぁはぁ、大輝君と楽しみたいんだ。」
「俺は・・・はぁはぁ、楽しむ気なんて・・・ねぇ!」
俺はさらに力を込めた。その瞬間だった。
「?!」
相手は俺の竿から手を離す。そして両手で俺の頬を持ち、顔を寄せてキスしてきた。しかも、舌まで入れてきたのだ。
俺は驚き顔を離す。もちろん相手の竿をしごく手なんてとっくに離していて、後ろの便器に尻もちをつく形で座ってしまった。
俺は入れられた舌から逃げるように後ろへ倒れたが、舌は完全に俺の口の中に入ってきた。
相手は少し浅く肩を揺らしながら俺を見下している。どこか満足そうににやけていた。
「お前・・・何して・・・。」
俺の頭は完全にパニックだ。
「もしかして、キス初めて?」
「・・・・・・はぁ?」
「いい事思いついた。」
相手はそう言うと、座った俺の前でいきなりかがみ始める。
するといきなり俺の竿にしゃぶりついた。
「おい!あぁああっ!」
俺はいきなりしゃぶられて声を出してしまう。両手を横の壁に付いた。なんだか全身に力が入らない。まるで初めてオイルを塗られたときみたいだった。だけどオイルの感覚とは全然違う。手でされるよりも、なんだか包み込まれていていろんな個所から刺激が来る。
「うぁ!おま・・・お前・・・ちょっ・・・離れろ!」
俺は上手く力が入らない中で相手の体を力いっぱい押した。
ズポッという音とともに相手の口から抜ける。
竿を離した相手と目が合う。俺は目をまん丸くして相手を見つめていたが、相手は意地悪そうに笑い、口元はよだれで濡れている。
相手は自分の手を口元に持ってくると唾を履いて、その手を背中に回す。いや、背中ではなくて尻の方に回している。
「・・・お前、何やってんだよ?」
俺はこれ以上恐ろしくて見ていられない。それなのに、相手のよだれに濡れたその顔に、どこか見とれてしまっている自分もいた。まるで國保先輩のオナニー姿を見たあの日みたいだ。
相手は急に俺の上に乗っかってくる。
「うわ!」
俺は突然のことに驚いて子どもみたいな声を上げてしまう。
俺の脚の上に跨り、向き合う形になる。お互いの竿がくっついているのがわかる。
「まだ硬いままだね。もっと気持ち良くなろうよ。」
相手は相変わらず爽やかな顔でそう言う。口元が濡れていてもこんなに爽やかなんて、なんだかむかつく。
相手は俺の肩から首の後ろへ手を回し、俺の後頭部を掴む。そして片手をさっきと同じように自分の尻の方に回した。
「気持ち良くって・・・男闘だろ?・・・男闘・・・だよな?」
相手の顔を見つめつつも、だんだん恐怖を感じ始めた。
相手が後に回した手は俺の竿を掴む。相手はのけ反るように少し腰を上げると、俺の竿を穴に当てた。
「おい・・・お前・・・まさか・・・?」
「締まってるぜ。」
相手は笑いながらそう言うと俺の竿を穴の中に押し込んだ。
俺の竿はしゃぶられた時の相手のよだれですでにヌルヌル。そして相手の尻はさっき自分自身で付けたよだれでヌルヌル。俺の竿はするっと入る。
「ああ!」
「ああ!」
俺と同時に相手も声を出す。
穴はかなりきつい。
「出せ!」
俺はそう言うのがやっとだ。竿が圧迫され、しゃぶられてるともしごかれてるとも違う感覚が押し寄せる。なぜか、その圧迫が心地良く、根元まで包まれているその感覚は新しかった。しかし、気持ちがいいのとはまた何か違う。
「なんで?・・・はぁはぁ、あぁ、ふってぇ・・・。」
相手は頭をもたげ俺に抱きつく形でもたれかかってきた。相手の硬くなった竿を俺は腹で感じている。
「なんでって・・・はぁはぁはぁ、こんなの・・・おかしいだろ!」
俺は相手の横腹の辺りに手を置く。このまま竿を出したいけど、押せばいいのか、立ち上がればいいのかわからない。相手もさっきまでとは違い余裕がなさそうだ。
「動くぞ!」
「は?ちょっ!」
俺の制止を聞かないまま、相手が腰を動かし始めた。
「あああああ!」
「あぁあ!でけぇ!」
お互い声を荒げる。根元まですっぽりと入った俺の竿は相手の尻の中で締めつけられこすれる。なんだか気持ちいいと言うよりはなんだか圧迫が刺激し、さらに何かが竿に当たっている感覚だ。手で掴まれるよりも圧迫が強い。
相手は苦しいのか気持ちがいいのかよくわからない表情で腰を動かしている。小刻みにと言うよりは大きく腰をうねらせる感じだ。
「オラ、どうだ?はぁはぁ、俺の穴感じるか?」
相手の顔を見ると何とも言えない男らしい表情に変わっている。俺はなんだか抜きたいのに抜けず、どこかでこのまま続けたいような気持が葛藤していた。まさかこんな気持ちになるなんて。完全に相手のペースだ。
「はぁはぁ、感じねーよ!いいから・・・早く・・・抜け!」
「はぁはぁ、何言ってんだよ、こんなに硬くして・・・はぁはぁ、もっと突きたいか?」
「だったら・・・はぁはぁ・・・早く終わらせてやるよ!」
俺は相手の竿を掴みしごき始める。
「うあぁああ!やべぇ!」
その瞬間、相手の穴はさらに締まる。
「おい!そんな締めんな!」
「はぁはぁ、いいだろ?ほら、このまま逝かせ合おうぜ!」
相手が腰を速める。
「ああ!そんなに動くな!くっそ!」
俺も手に力を込めて早めた。
「ああああ!オラオラオラ!」
「うぁあ!ああ!オラオラオラ!」
お互いにラストスパートだ。正直俺はきつい。なんだか玉の根元が熱くなってきた。
「大輝!」
その声を聞いて、俺は血の気が引いた。それは上から聞こえてきた。
相手の腰が止まる。同時ににやりと笑った。
俺は上を見上げる。
そこにいたのは大便の個室の上から顔を出す一成先輩だった。
「せん・・・ぱい?」
俺は先輩を見つめ何も言えずにいた。
「今すぐ出ろ。」
特に怒鳴ることもなくそう言うと、先輩の顔が消えた。
相手の顔を見ると満足そうに笑っている。
「さい・・・あく・・・。」