いよいよ試合が始まった。
気合を入れた相手選手に対し、岡井先輩は無言で無表情のまま。いつもの怖い顔をして相手を睨んだまま胸を張り堂々と相手の目の前まで歩み寄った。
相手も負けじと先輩を睨み返し歩み寄る。お互いの体が触れ合う寸前で、まるで示し合わせたかのように膝をついた。
2人の横には桶に入ったローションがいてある。そのローションに手を伸ばしやすいように膝立ちになったのだ。周りを見るとどのペアもそうやっていた。
俺は思わず声援を送るのも忘れ夢中になる。
相手選手は膝立ちした途端先輩の褌に手を掛けて中を引きずり出そうとした。その時、表情が一変する。さっきまで先輩を睨んでいた顔が下を向いた。手を入れた岡井先輩の褌を見ているようだ。
先輩は相変わらず無表情のまま、手を入れられても慌てることもなく余裕たっぷりのスピードで桶のローションを手に取り、片方を相手の肩に回し、もう片方の手を相手の褌の中に入れた。相手の体がびくんと震える。
「あぁ・・・。」
相手は思わず声を出す。横から出した相手の竿は先輩の手に収まるくらいのサイズだ。
先輩のスムーズな引き出しに比べ相手の手元はぎこちない。不器用に引っ張り出した。両手で褌の横から出された先輩のそれは勃起すらしていない。
相手は必死になって両手で岡井先輩の竿をしごく。しかし、勃起していない分上手くしごけない。片手で根元を抑え、もう片方でしごく。勃起していなくても十分重量感はあるが固さがない分滑るのだ。
「はぁはぁ・・・くっそ!オラァ!」
相手が焦っているのは目に見えていた。それに比べ岡井先輩は無表情のまま、呼吸一つ乱すことなく、完全に勃起している相手の竿を包み込むように大きく分厚い手でしごく。無言のまま挑発を返すこともなかった。
まるで子供と大人の対決みたいだ。
周りの2、3年生も形だけ声援は送るものの、安心した顔で見ていた。一方相手選手の応援は勢いがあり、必死さが伝わってきた。
言っても3年生だ。これが最後の試合かと思うと勃起すらさせられずに負けるのはきついだろう。しかし、これも勝負だ。とはいえ同情してしまう。
岡井先輩の竿は少し大きくなっているものの、まだ完全には勃っていない。それを必死に、全身の筋肉を使い勃たせようとする相手選手。岡井先輩は無表情で、片手で相手の竿をしごきあげる。相手は乗ってこない先輩に諦めたのか、最初だけでもう言葉を発することも無くなった。周りの試合では罵声、怒声が飛び交っているがここだけは静かだった。
相手選手はなんとか挽回しようと先輩の乳首を舐め始めた。
「岡井!負けんなよ!」
國保先輩の声だ。大きな声を出している姿は初めて見た。低くて大人っぽい色気のある声だ。声を張ってもその色気は抜けない。俺達のいる観客席まで聞こえる通る声だ。
「っ・・・!」
乳首を責められた岡井先輩が小さく体を震わせた。それを感じ取った相手選手はここぞとばかりに顔を強く押し当て、舌に力を込める。
無表情だった岡井先輩は眉間にしわを寄せ目を瞑った。少しだけきつそうに見える。
『乳首が弱いのかな・・・。』
俺はその表情にほんの少し心配になった。しかしずっと緩めることなく責められ続けている相手の股間もそろそろ限界にきているようだった。さっきから相手の体ががくがくと震え、息が荒くなって行っている。全身に力が入るのがわかる。やはり勝敗は分かっていた。
「あああ!ちくしょう!」
相手が乳首から口を離し、上を向きながらそう叫んだ。岡井先輩の手が速まる。
「うあっ!」
相手は完全に諦めたのか、岡井先輩の大きく膨らんだ丸い肩に両手をつき腰を前に出す。そして先輩の体に向かって思い切り射精した。声を殺すように、歯を食いしばり、何度も体を大きく震わせながら。
白く濁った精液がはじけるように飛び出て行く。相手選手の丸い尻に力が入り、背中の筋肉が浮き出ていた。
岡井先輩は最初の時のような無表情に変わり、相手の射精に合わせて手の動きを緩くして、止めた。精子が自分の体にかかっても気にすることなく、相手の射精が終わると立ち上がる。いつの間にか審判が岡井先輩側に手を掲げていた。
岡井先輩の竿は完全に硬くなり、上ぞりのカリの大きな竿が上を向いていた。きっと乳首を責められた辺りから勃起していたのだろう。
『本当は、責められるの好きだったりして。』
俺はついそんなことを考える。
試合は岡井先輩の勝ちだった。負けた相手選手は酷く落ち込んでいるように見えた。退場していく時の表情が酷く悲しそうだった。同じ学校の選手は励ましの言葉を掛ける。背中を叩いたり、拍手をしたり。しかし、相手選手の顔は暗い。
こればかりはしょうがない。
岡井先輩の試合が終わってすぐ、一成先輩の試合が30分もしたら始まる。
先輩たちは一度控室に帰った。俺達は朝に続き控室に行くときっと迷惑だろうと思い、観客席で待っていることにした。次も多分同じ場所で行われるだろうから。
待っている間も目の前では次々と試合が行われていた。
なんだか不思議な感じだった。顔も名前も知らない、さっき見かけたばかりの人と股間を握り合い、射精させようと必死になるなんて、なんだかすごいスポーツだなと。むしろスポーツと呼べるのかどうかも俺の感覚からするとおかしかった。どう考えても、俺にこの試合はできそうにない気がする。
「おい、お前ら。」
試合を眺めたり、雑談をして一成先輩の試合を待つ俺達に声を掛けてきたのは田路先生だった。
なんでも、会場のすぐ横で試合を見たらどうだと言ってくれたのだ。観客席には部外の応援や一般の見学者もいて、声援を飛ばす俺達は早く言えばうるさいらしい。先生はそうは言ってなかったけど確かに俺達の声援はうるさかったかも。
でも、俺達にとってはすぐ横で見れた方が嬉しかった。
俺は移動しながら一成先輩の言葉を思い出した。
「俺はお前のために頑張るからな。」
まったく・・・。そんなこと言われたら絶対勝って欲しい。
俺は密かに、応援に気合を入れる。
やがて、試合の時間がやってきた。