粉雪~粉雪


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それから俺はろくに挨拶もせずに仕事を辞めた。悟にも最後の日には会っていない。

ゲイの体を売る店で働いてみたり、女の子相手にホストをやったり。毎日ゲイバーに通ったり。何を考えていたんだろう。俺はどんどん壊れて行って、生活もろくにできない状態になった。

誰かにぬくもりを求めたり、金を貯めてどこか遠くに行くことを考えたり。でもどれも上手くいかなかった。

 

 

俺はしばらくして実家に帰ることを選ぶ。実家は雪国で、空港から出ると辺り一面真っ白だった。

すごく惨めな気持ちだった。だから、誰にも言わずに帰って来た。東京の友達にも、地元の友達にも。もちろん元彼にも。

そして、悟にも。

 

 

外に立って一面真っ白な景色を見ると、なんだか世界で、こんなにたくさんの人がいるこの世界で、自分は一人ぼっちのような気がした。もう誰も俺のことなんか知らない気がした。

 

知らない場所で、知らない人たちと、新しい人生を。昨日までそう思っていた。

今俺がここにいることは誰も知らない。

だけど、ここに立って初めて分かった。

知らない場所にいても、知らない人といても、俺自身、何も変わらないんだと。

俺がどこに誰といても、世界は同じだった。

 

 

俺のポケットにある、携帯が鳴る。その音さえ、俺は期待してしまう自分がまだそこにいる。

あの人から、掛かってくるわけないのに。

画面を見ると、悟からだった。俺は溜め息をつき、俯いて、電話には出ずに携帯を閉じた。その瞬間、粉雪が降り始める。

 

そう言えば、東京も、今日は雪だったっけ。

 

 

俺はその後すぐに携帯を解約した。悟とはそれ以来、連絡を取っていなかった。最後に交わした言葉も、よく覚えてない。

 

 

今でもあの日のことを思い出す。期待して、ベッドの上で携帯の画面をいつまでも見つめていたあの日。あの時俺の全てが終わり、あの時から俺の時計は止まったままだから。思い出すといつも悲しくなる。俺はあの時のことを今でも何一つ乗り越えられていないんだと思い知る。

 

 

飲み会の帰り道、雪の降る空を見上げて、俺が空港で見上げた空を思い出した。実家に帰ったあの日。これ以上ないほど自分が嫌いになったあの日。

悟は何を伝えに電話してきたのだろう。今になって後悔している。

 

その時、ポケットのスマホが鳴る。取り出し画面を見ると電話だ。

 

 

それは悟からだった。

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